4 北欧に学ぶ環境配慮~グリーンMICEを考える

海外事例視察から
北欧のホテルの環境配慮事例

グリーンMICEを実現するために北欧の先進事例を視察しようと行ってきました。今回の視察は、第一にコンベンション会場および運営においてどのような環境への配慮を行ったらいいのか。二番目に宿泊や食事の面の環境配慮をどうすればいいのか。三番目に環境に負荷を与える飛行機での移動に対する環境配慮がどのようになされるべきか、この3点を基軸に調査を行ってきました。

日時:
2010年10月28日(木)18:00〜20:30

講師:
森影依((株)インテリジェントリンク代表取締役)

ソンガ・セービ(スウェーデン)

最初のソンガ・セービはストックホルムから1時間くらいのところで、広い敷地に平屋の会議場、宿泊施設が点在しています。20年前に経営危機で傾きかけていましたが、新しい経営者が環境配慮に取り組み、その結果経営が好転してビジネス的にも成功しています。

 湖の近くにあるホテルで、屋根は屋上緑化で見た目も美しいホテルです。床は白木のままで、スウェーデンで初めてFSC認証の木材を使って建てています。ベッドのリネンもすべてオーガニックコットンで、染めもオーガニックです。

スカンディックホテル

次はストックホルムにあるスカンディックホテルです。スカンディックホテルは150のチェーンを持っています。ここもホテルチェーンが経営危機で傾きかけたところに環境配慮を進めて経営を好転させました。

訪れたホテルは、全北欧で8%のホテルしか取得していないスワンマークを取っているホテルです。スカンディックホテルチェーン150のうち130ホテルがこのマークを取得しています。

ホテルのロビーではウエルカムでオーガニックのコーヒーや果物を提供しています。このホテルではできる限りオーガニックで地元の食べ物を使い、使っているという表示をしています。北欧には有機食品につける緑のクラブマークがあり有名です。北欧で持続可能な漁業というのを進めており、その認証を取った魚につく魚マークもあります。

このようにマークやラベル制度がしっかりしていて、それをできるだけ使うということがホテルのステータスにもなっています。 スカンディックホテルではCO2排出量、電気量、水の使用量のデータを公開しています。チェーンホテルの中には、基準を上回っているホテルもあり、オランダのホテルではなかなか下がらない状況もあると話していました。

クラウンプラザホテル

デンマークは風力発電機、発電量とも世界一です。

コペンハーゲンにあるクラウンプラザホテルはCOP15開催に向けて建てられました。環境に対するプロトコルがしっかりしているということで、ヒラリー・クリントンとアル・ゴアが宿泊に選んだそうです。Green Keyを取得しているホテルで、客室はオーガニックコットンを使い、オーガニック染料が使われています。室内には紙はなく大型モニター映像を使い、机などの備品もリサイクルした部品を使用しています。アメニティ関係は、すべて生分解性プラスチックで、原料はジャガイモから取った澱粉です。水道も省エネで50%水の出方を少なくし節減に努めています。冷暖房は、ヒートポンプによる熱交換システムで地下水の温度差を利用しています。キッチンはエネルギーの節約からIHヒーター、生ゴミはマイクロバットシステムという粉砕機を使い、それを回収してバイオ燃料として使って街に供給しています。ホテル自体としてゼロエミッション、廃棄物を出さずリサイクル、リユース、リデュースを徹底して行っています。

ホテルの外観に黒く見えるものは太陽光パネルで、100%使用電力を太陽光でまかなっています。電力が不足するときは、近くの風力発電で補っており、100%自然エネルギー利用です。

自転車と車との共存システム

デンマークでは道路に自転車専用道路がもうけられています。車より自転車通勤が多く、自転車は鉄道の専用車両に積み込むことができます。駅のホームには自転車を積み込む車両の位置も表示されています。システムや設備が整備されていると車との共存ができます。

WorkShop

「北海道の資源・素材を生かしたMICEの企画」

ワークショップでは、グループごとに札幌のSWOT分析に基づき、MICEのうち、どのタイプの行・催事を誘致するかを決めるということで話し合いが行われました。論理的で説得力のある誘致企画のベースづくりです。話し合われた内容を模造紙1枚にまとめ、ワンシートプレゼンテーションをつくりました。